はるか昔
今から500万年前、地球がまだ静かに呼吸していたころのお話です。
西オーストラリアの荒れる海から、ひとつの風が吹いていました。
それはいつも同じ方向へ、同じ想いを運ぶ西風。
白い飛沫をまとった海の記憶を、450kmも内陸へと運び続けました。
やがて風は山にぶつかり、
その麓に、静かに、静かに
ひとつの湖を育てはじめます。
それがデボラ湖。
雨季には浅く水をたたえ、
乾季になると、40℃を超える太陽のもとで、
何も語らず、ただ自然に干上がっていきます。
人の手は、ここにはありません。
あるのは、
太陽と、風と、大地だけ。
湖底が温められると、
大地の奥深くで眠っていたミネラルたちが、
毛細管現象に導かれるように、ゆっくりと表層へと昇ってきます。
そして
その瞬間。
湖面に、直径10mmほどの
小さな白い花が咲くのです。
「塩の花」。
カルシウム、マグネシウム、カリウム。
地球が長い時間をかけて磨き上げた、
重く、深く、旨味を宿したミネラルたちが
その花の中にぎゅっと詰まっています。
この奇跡が起こるのは、
一年にたった一度、わずか一ヶ月間だけ。
だからこの湖塩は、
量ではなく、物語を持っています。
素材にすっと溶け込み、
少量で旨味を引き出すその力は、
肉にも、魚にも、
そして
あたたかいおにぎりにも、そっと寄り添います。
それは、
500万年前の澄みきった地球から、
今を生きる私たちへの贈り物。
人の手を介さず、
ただ自然だけが完成させた、
完全無添加の湖塩。
どうぞ一度、
地球の時間そのものを、味わってみてください。
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