一人の青年が黙々と土壁と対峙する。
青年は手つかずだった歴史ある古民家を、自分の力でよみがえらそうとしている。
昔、家を建てるときには、地域のイベントだったに違いない。
大工に覚えのあるリーダーを中心に、仲間の家つくりにみんなが力を出し合う。
このような風習はどこにもあったはずだ。
土に藁を入れ熟成させたものを、壁の材料として使う土壁は、土蔵などに使われたものだ。
この土壁の工事を業者さんに頼むと、手間がかかるということで職人さんは嫌がる傾向があるそうだ。
この土壁は何とも言えない、和の空間を演出する。
夏はひんやりとした空気が流れ、冬は冷たい外気から住む人を守ってくれる。
家つくりに関して、柱や土台は大工さんに頼むものの、あとはすべて自分の手で古民家の再生に挑んでいる。
農村の中に穏やかで温かい、結(ゆい)はどこにも存在していたはずだ。
社会の変化や核家族化が進み、農村に若い人がいつかなくなった。
現在、結というコミュニティが機能しにくい状態となっている。
彼の取り組んでいることは、かなりアウトサイダー的な形かもしれない。
しかし彼は、殺伐とした現代社会大きな湖に、小さな希望という石を投げ込んだ。
その希望の石から広がる波紋は、どんな形で広がってゆくのだろうか?
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